最近、CBDという言葉をよく耳にするようになりました。
CBDとは、大麻植物由来の成分の一つで、精神活性作用のないカンナビジオールのことを指します。
欧米を中心に、CBDを配合した健康食品やコスメティックス、医薬品などが広く流通し始めており、日本でも徐々に認知度が高まっています。
今回は、そんなCBDの市場規模と今後の成長予測について詳しく解説します。
地球環境に配慮した持続可能なビジネスとして注目を集めるCBDについて、最新の情報をお届けします。
■ CBDの世界市場は22兆円規模に拡大
現在、CBDの世界市場規模は数千億円と言われていますが、その成長スピードは目覚ましいものがあります。
ある調査レポートによると、2028年までにCBDの市場規模は22兆円に達すると予測されています。
この急成長の背景には、麻に対する社会的な見方の変化があります。
2018年、WHOが「大麻は比較的安全」との見解を示したことで、CBDの安全性に対する認識が広がりました。
欧米諸国を中心に大麻の合法化が進む中、CBDは「合法的なヘンプビジネス」として脚光を浴びているのです。
■ 日本でも大麻政策の転換点に
日本でも、麻を巡る動きが活発化しています。
2022年10月、厚生労働省は大麻取締法の改正に向けた方針を示しました。
「麻の適切な利用の推進」や「適切な栽培」といった文言が盛り込まれ、医療利用や産業利用への道筋がつけられようとしています。
麻の成分を活用した医薬品については、2023年9月の時点で、秋の臨時国会への法改正案提出が決まっています。
大麻由来の医薬品の使用を解禁する一方、乱用防止のため「使用罪」を新設し、所持・栽培だけでなく使用も禁止とする方針です。
こうした規制緩和の動きは、世界的な潮流とも合致しています。
タイでは2022年に大麻が解禁され、多くの「大麻ショップ」が出現しました。
日本人観光客の姿も目立ち、解禁に伴う「グリーンラッシュ」が起きています。タイ政府は、大麻ビジネスによる経済活性化を狙っているようです。
■ CBDビジネスへの投資が過熱
市場の拡大に伴い、国内外でCBDビジネスへの投資が活発化しています。
サッカー元日本代表の本田圭佑氏が、日本初のCBDスタートアップに出資したことが話題となりました。
また、早稲田大学のOB/OG投資家グループがCBDベンチャーに3000万円を出資するなど、国内でもCBDへの注目度が高まっています。
■ 環境に優しいCBDの可能性
CBDへの期待が高まるもう一つの理由は、その環境負荷の低さです。
大麻は成長が早く、栽培に農薬や化学肥料をほとんど必要としません。
また、大麻由来のプラスチックは生分解性が高く、海洋汚染の防止にも役立つと考えられています。石油由来のプラスチックに代わる新素材として、CBDが注目を集めているのはそのためです。
環境保護と経済成長を両立する「グリーンビジネス」の代表格として、CBDに大きな可能性を感じずにはいられません。
■ 課題は規制と安全性の確保
ただし、CBDビジネスの健全な発展のためには、いくつかの課題をクリアする必要があります。
麻の乱用を防ぎ、消費者の安全を守るための法整備が求められます。
また、粗悪なCBD製品の流通を防ぐため、品質管理の徹底も欠かせません。この点について、日本のCBDスタートアップ各社は、トレーサビリティの確保や自主規制の導入など、信頼できるCBD市場を創り出すための努力を続けています。
規制の整備を待つだけでなく、業界自らが率先して安全性を担保する取り組みが重要だと言えるでしょう。同時に、大麻使用者への処遇も重要な論点となります。
単に刑事罰を科すだけでなく、依存症治療や社会復帰支援など、多角的なアプローチが求められます。
■ まとめ
CBDは、医療分野だけでなく、食品や化粧品、プラスチック代替素材など、幅広い産業への応用が期待されています。
市場の拡大に伴い、ビジネスチャンスも広がっていくでしょう。
日本でも大麻政策の転換点を迎えつつあります。CBDの可能性を活かしながら、リスクにも目を向ける。
規制と支援のバランスを探りつつ、新たな産業を育てていく。
そんな賢明な舵取りが、いま私たちに求められているのかもしれません。